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Johannes Stern
2012年3月3日
木曜日、軍事政権による渡航禁止令解除を受けて、数人のアメリカ人NGO工作員を乗せた米軍機がエジプトを飛び立った。この動きは、違法にエジプトの内政に干渉したアメリカ人を裁判にかける計画を進めると主張していた政権による譲歩だった。これは、何週間かワシントンから強い圧力を受けた結果だ。
米国務省のビクトリア・ヌーランド広報官は、アメリカは"非常に嬉しく思う"と述べたが、"我が国民の出国で、訴訟事件、あるいはNGOに関する、より大きな問題が解決したわけではない"ことを強調した。彼女は更に、アメリカは依然として"起訴を深く懸念しており"、"全てのNGO [...]が登録可能になるという形で、NGO問題が落着する"ことを期待すると述べた。
6月、エジプト暫定政府は、違法な、登録されていない外国の資金援助を受け取っているかどで、エジプトで活動している、いくつかのNGOと政治組織を告訴した。米国国際開発庁(USAID)が、エジプトの新聞に、エジプトで、"民主主義を支持する"イニシアチブを支援していると語った後、対NGOキャンペーンが始まった。
マスコミ報道によれば、昨年11月に行われたエジプト議会選挙前に、オバマ政権は、エジプトに約2億ドル注ぎ込んだ。ムスリム同胞団(MB)の政治部門であるイスラム教の自由と公正党(FJP)と均衡させるため、アメリカはエジプトの親西欧派諸政党を補強しようとしていたと伝えられている。
10月、エジプトのムハンマド・アブドルアジーズ・エルグンディー司法大臣は、12月29日武装した軍と警察の部隊が、カイロにある17のNGOの事務所を捜索し、閉鎖したという主張を捜査するために、二人の判事を任命した。家宅捜索された組織には、アメリカの共和党国際研究所 (IRI)、民主党国際研究所(NDI)、フリーダム・ハウスと、ドイツのコンラート・アデナウアー財団等が含まれている。
ところが、2月26日に開始しようとした、アメリカ人16人を含む43人の裁判の矢先、エジプト当局は延期を発表した。渡航禁止令の解除によって、レイ・ラフード運輸長官の息子で、エジプトIRI理事長のサム・ラフードを含む被告人達が、エジプトを出国することが可能になった。
裁判延期の前に、アメリカ政府は軍事政権に対する圧力を強化していた。IRIのトップで、共和党上院議員のジョン・マケインを含むアメリカ高官が、エジプトを訪れ、危機の迅速な解決の必要性を強調していた。ヒラリー・クリントン国務長官や他の主要なアメリカ人政治家達は、もしもエジプト当局が引き下がらなければ、13億ドルの軍事援助の年次割り当てを削減すると脅したのだ。
パターソンの葬儀"ナイアガラの滝"
火曜日、クリントンは上院聴聞会でこう述べた。"非常に骨の折れる交渉を何度も行っており、解決に向かいつつあると思う。"カイロは、エジプトへの支援を止めるというワシントンの脅しは本気だということを"理解しつつある"と彼女は言い足した。
アメリカがエジプト軍事政権への援助を停止するなどありそうもないことだが、アメリカ統合参謀本部議長のマーチン・デンプシー大将は、そのようなステップはアメリカの権益に反するだろう?アメリカとカイロ政権との間で、ある種の緊張が、ここ数ヶ月高まっていたと、最近語っていた。
当初、エジプト・ブルジョア国家とアメリカ帝国主義の権益を守るため、労働者階級による抗議デモとストライキをやめさせるよう、アメリカとエジプト軍は協力して行動した。昨年2月11日、アメリカは、長年の同盟者で、エジプト独裁者ホスニ・ムバラクを、ムバラクの下で国防相を勤めていた軍最高評議会(SCAF)を率いる陸軍元帥ムハンマド・フセイン・タンタウィに置き換えることを承認した。
ストライキが続いていた間、軍事政権は、西欧が支援するNGO、"独立"労働組合や、4月6日青年運動や、革命的社会主義者(RS)の様なエセ左翼政治組織を含む裕福な中流階級連中に"より広い民主的空間"を与えることを強いられた。見返りに、こうした組織は軍事政権を擁護し、5月と7月の大衆抗議運動に際して、労働者と青年達が提起した"第二次革命"要求に反対した。
しかし、これら組織に対する活動の場を認めるというこの戦略には、将軍達にとって、リスクが無いわけではなかった。11月の選挙前後に、階級闘争は再度激化し、エジプト革命一周年に、政権崩壊を要求する、100万人強の抗議行動にまで至った。アメリカと西欧が支援するNGOと、彼等のエセ左翼同盟者連中は、"第二次革命"を防ぎ、軍隊により迅速な権力移譲をするよう圧力をかけるには、背後から軍隊によって支配されている名目だけの文民政権が、より効果的であることを確信するようになった。
昨年の革命運動の高まりに直面して、ワシントンを忘れてはいなかった軍事政権の将軍達は、ムバラク打倒と、彼を他の軍人で置き換えることを下支えするため、そうした勢力を奨励していた。ムバラクの運命を避けようとして、軍事政権は、労働者階級のみならず、西欧が支援する組織のいくつかも手荒に弾圧した。同時に、"外国の干渉"に反対するという名目での対NGOキャンペーンは、SCAFの将軍達が反帝国主義感情に訴えて、自分達がワシントンに服従していることを目立たなくさせることを可能にした。
仲裁は、裁判所によって覆さすることができます
NGOの取り締まりは、当初ムスリム同胞団に支持されていた。イスラム教徒達は、当初から軍事政権と密接に協力しており、軍支配反対の抗議行動には反対していた。彼等はムバラク排除に反対する超反動的な湾岸君主諸国と密接なつながりがあり、自らの専制主義支配が弱体化させられかねないという恐怖心から、民主的な考え方へのいかなる譲歩も恐れている。
湾岸諸国は、エジプトのイスラム教徒MBやアルジェリアのイスラム教過激集団サラフィ派への資金援助を増加した。サウジアラビア、カタールとアラブ首長国連邦が、軍事政権に対し、100億ドルの対外援助を約束し、将軍達が6月にIMF借款を断ることを可能にした。
ところが、11月の選挙で、エジプト議会における議席の47パーセントを獲得した後、MBはゆっくりと方針を変え始めた。幾つかのアメリカ高官代表団が、イスラム教徒より緊密な関係を確立するため、カイロの本部でMB指導者達と会談した。2月20日、同胞団の政党自由公正党(FJP)は、"民主的プロセスの支援における、非政府組織(NGO)の役割を支持する"という声明を発表した。
マケイン上院議員は、NGO議論における主要仲介者の一人で、タンタウイ将軍や、MB指導者達等と会談した。渡航禁止令が木曜日に解除された直後に、彼は報道発表を行い、ムスリム同胞団とその政党に"先週果たした、建設的な役割"に対して感謝し、"2月20日の彼等の声明は、最近の危機解決を支援する上で重要だった"と述べた。
アメリカとエジプト軍事政権との間の対立は、エジプト経済の危機が深化するという背景の中で展開した。国際格付け機関が、何度かエジプトを引き下げ、国際金融市場は、エジプト人労働者階級に対する更なる攻撃を要求した。12月、エジプト軍事政権は、IMFに向きなおり、新規借款を要求した。これはFJPに支持された動きだが、エジプト大衆は大反対した。
労働者階級に対する反革命を推進するためにより洗練された政治機構の確立を可能にすべく、エジプト軍事政権に対する圧力を強化するため、アメリカがIMFへの支配力を行使したように見える。
月曜日、FJPは統一政府を求める呼びかけを再開する声明を発表した。声明はこうだ。"エジプトがエスカレートする経済・安全保障の危機に苦しんでいることは、政府の失敗を立証している"。この呼びかけは、西欧"左翼"寄りで、NGOと密接なつながりを持つ、エジプト社会民主党を含めたエジプト議会の5政党に、即座に支持された。
水曜日、記者会見で、大統領選挙最高評議会は、以前延期された大統領選挙の第一回投票は、5月23日と24日に実施すると発表した。
記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2012/mar2012/ngos-m03.shtml
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ここで、ジョンgordnerは生きていない
既に旧聞に属する話題だろうが、この記事でも、NGOによる反政府運動の実情、新聞・テレビでは報道されていない事実がわかるかも知れない。シリアも...
政府・大本営広報機関公式発表も、司法判断も、決して鵜呑みにはできない。
アラブの春も、原発安全神話も、基地問題(つまりは、日米安保神話)も。
事実隠蔽、続いたままであること、TVドラマ『運命の人』にすら描かれていた。
孫崎享氏の新著『不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換』(講談社現代新書)の中で、「日本は対米追随で、本当に繁栄してきたか」どうかも、しっかり検証されている。安全保障を考える上での、耳が痛い指摘が山盛り。良薬は国に苦し。
原発、全く未知の分野なので、きちんとした英和単語帳をと思い、つい最近「学術用語集 原子力工学編」というものを購入した。
昭和53年初版発行
平成7年8版発行
とある。
普通の辞書で、8版とあれば、8度目の改訂を意味する。初版と第8版、相当内容が改訂、追加されているものだ。ところが原子力村では?意味が違うようだ。
いくら冒頭(序文、前書き、主査の言葉)を読んでも、改訂したとは書いてない。
8版とは、いわゆる8刷をいうようだ。つまり「学術用語集 原子力工学編」、1978年の出版以来、内容は改訂されていない、と思われる。
原子力工学の進歩・発展、1978年で停止したままなのだろうか?
そういう素晴らしい発展をとげつつある工学の見地から、政府、大本営広報機関のご尽力のおかげで、「現地の除染」と「瓦礫の全国拡散」が推進されている。
もちろん、福耳氏のお説の通り「ただちに健康に影響はない。」
『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り』の中に、気になる記述があった。
92ページから94ページで、イギリス作家チェスタートンの探偵小説の一節を引用して、「瓦礫広域処理の狙い」を説明してくれている。
ブラウン神父シリーズの中でもっとも深遠な話の一つは、「折れた剣」と題されるものだ。これは一人ならずの作家や映画監督にインスピレーションを与えている。物語の冒頭で、ブラウン神父は、相棒に一連の質問を投げかける。一見、彼らが解決せねばならない問題とは関係のないものだ。
「知恵者なら、小石をどこに隠すかね?」
「浜辺です」とフランボーが答える。
「知恵者なら、木の葉をどこに隠すかね?」
「森の中です」
「では、森がなかったら、どうするだろう?」
フランボーは黙ってしまった。ブラウン神父は続ける。
「森をつくるんだよ、木の葉をそこに隠すために。恐ろしい罪ではないか」
犯人は、自分が犯した罪を隠すために何百人もの男たちを死に追いやったことが明らかになる。死体は、死体の森の中に隠されている。チェルノブイリの事故から四〇〇〇の死者が出たであろうとする専門家たちは、自分たちが死者のリストに書き落とした何万人もの死者を隠すために死体の森を動かす必要もなかった。彼らの背信行為を隠蔽するために必要だったものを、親切にも自然が提供してくれたのだ。彼らは、人目から隠したかった死体を、広大な汚染地域の中で「自然な」癌で死んだ、もしくは死んでいく人々の肉体の中に紛れ込ませるという暴挙をおかした。彼らは、この大量の犠牲者の中に、チェルノブイリの烙印を押された呪われた部分は認められないと主張したのだ。恐ろしい罪ではないか。
放射能汚染物質を隠そうとした時には、どこに隠すのが良いか?専用廃棄物処理場だ。
専用廃棄物処理場がないときはどうすれば良いか?専用廃棄物処理場を作るのだ。全国に拡散してしまえば、どこで何が起ころうと、うやむやにできる。
さんざん嘘をつき続ける政府、民主党、官僚、マスコミの主張プロパガンダ(東京に続け!)はさておき、プロパガンダと無縁な専門家で、懸念を表明する方々は多い。
原子力工学の進歩・発展、1978年で停止しているかどうかは知らないが、少なくとも、統治技術・プロパガンダ技術、格段に進化していることは確かだろう。
いや、それは愚鈍な素人の発想。万一の場合に日本の原子力発電所から放出される放射能・放射性物質粒子は、日本の素晴らしい原子力工学の進歩・発展により、国歌を歌いながら飛散し、おのずから、必ず県境を認識する知的放射能に改良されている。したがって、万が一、「信頼の大飯発電所」から放出された場合でも、全ての放射能・放射性物質粒子は、ぴったり滋賀県の県境手前で、降下する。
そこで、藤村官房長官は「(理解を求める)地元の範囲は数値的、機械的に判断できるものではなく、再稼働と防災の30キロは内容的に違う。連動していない」と語り、滋賀県が再稼働に当たって理解を求める「地元」ではないとの認識を示して済ますことができる、というわけだ。
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